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上海かえるダイアリー

//2022年11月23日、東京。Art Center Ongoingで「かえれないわたしたち」という無断企画展を勝手にやったばかりなのに、パパの体調のことで、急遽、12月のまだ高いエアチケットを買わなければならなくなったのです。帰れない私はまる3年ぶりに上海に帰ることになりました。なかなかドラマチックだよね。自分はよく「中国」という言葉を避け、「上海」と言うことを好んでいることに気づきました。

//2022年11月30日、東京。出発までカウントダウンの1週間。上海の烏魯木齊中路で白い紙を手にした人たちによって「白紙革命」と呼ばれる、これまでにないデモが発生しました。それは偶然にも、私の上海の自宅の前の路でした。ネガティブなニュースを読みすぎたので、パソコンからすべてのデータを削除しました。 また、もう1台クリーンなスマホを用意しました。 実際に使っているスマホを持っていくかどうか、非常に迷っていた。規制の基準が曖昧なので不安かな。

//2022年12月7日、浙江。入国の深夜、中国政府は「これからPCRはもうしない、ロックダウンもしない」と発表した。3年の「ゼロコロナ」政策は急に終わったのか?後で自分の失敗に気づいた。上海より安いチケットのために浙江省から入国したこと。そこは私の実家です。 親と、過去とつながっている場所です。隔離ホテルに向かうバスは、深夜の高速道路を疾走し、まるでブラインドボックスのようにどこに行くのかわからない。バスは消灯し、乗客は眠っているように静かだった。暗闇に残された光は、スマホの画面の光だけだった。急速に後退する冬の夜の木々を結露した窓から眺めていた。私はこういう冬の深夜バスに乗る感覚をよく知っている。

//2022年12月11日、浙江、隔離ホテル。隔離されたホテルの部屋には、青いプラスチックの四角いスツールだけが置かれている。 よく見ると、その上に花の模様がある。 ネットで鉛筆と白い紙を買って、フロッタージュでこの模様を保存した。窓の外に山がある。八日間山を見た。それが親しみと喜びをもたらした。久ひぶり!ここの空気の湿度、空の色、食べ物のにおい、方言、人の雰囲気(オンラインだけど)を感じるんです。 電話からママのアンハッピーリアクション、ママと私のそれぞれのエモーションを感じるんです。コントロールフリークママと弱くてパラノイアパパはいつも正反対な意見で、私は葛藤を抱えた娘に成長しました。集団主義、あるいは上からの強力な未知の力。いろいろな突然の不可解な力によって、少女時代に戻されたような気がします。RUN AWAY GIRLだったね。この3年間ママと会えなくて会いたかった。もうママとの関係は治ったと思っていたけど、オンラインコミュニケーションのフィルターがかかっていたかな。リアルはどうかな?ママとの関係も多分中国との関係に似てる感じ。あーあ、ママ、愛してるよ。愛してるけど、怖い。ネガティブで弱い心を見せてしまい、申し訳ないです。浙江省に戻ることは、少女時代に戻ることです。

//2022年12月15日、浙江、隔離ホテル。検疫期間がもうすぐ終わる頃、隔離ホテルの6階の部屋の窓から向かいのバス停に手を振ると、ようやくパパが私を見て手を振り返し、またスマホを掲げて写真を撮った。 でも、ママはどこに行ったの?数分後、wechatグループに私が手を振っている写真が届いた。パパはもういなかった。 少ししてママが現れて、ママも手を振り始め、私はもう一回手を振らなきゃいけない。必然的にちょっとしたパフォーマンス感があるね。ママも写真やビデオを撮って、私もまた撮りました。

//2022年12月16日、浙江、実家。この国のすべてが正面から襲いかかり、私を包み込んだ。言葉遣い、声のトーン、思考の癖、目線、動作、すべてです。 反対するものも、実は自分の身体の中にずっといた。

//2022年12月17日、浙江、実家。でも、困難は欲望を増大させる。

//2022年12月20日、浙江、実家。ここでの人間関係のほとんどは、実家のある団地のグリーンベルトにある剪定されていない木のようなものです。高すぎてすでに未開の森のように荒々しく、絡み合い、空を覆ってしまっている。「柔らかい柳の枝に風が吹くように」、何度も何度も彼女の言葉を思い浮かべるが。

//2022年12月22日、上海、冬至。ようやく上海に戻る時、バスの中は運転手と私ともう一人の乗客だけになっていた。近所をちょっと散歩した。この路ですよ。烏魯木齊中路。友達が「もう革命聖地になったよ」と冗談で言った。アメリカ大使館、イラン大使館、フランス大使館もある路。人を制限するブリキ壁がまだあるんだ。なかなか崩れないね。交差点ごとにパトカーや警察官がいて、私服の刑事の方が多いかもしれない。警察官は、たくさんの時間頭を下げて、スマホで遊んでいる。かつてはいろいろな人や文化がミックスしていた面白いこの路は、ここ数年でインスタ映えする路となり、あらゆる種類のトレンディなカフェやアイスクリーム店がひしめき合っていた。今は落ち込んでみたい、戦後の雰囲気すら漂っています。 そんな見知らぬ上海でも、私の大切なバッファゾーンであることに変わりはない。クリスマス前に上海に戻った最初の1週間は、知り合いも知らない人もみんな陽性になちゃってた。

//2022年12月24日、上海、クリスマスイブ。政府が強制的に接収した郊外の工場棟にあるシェアアトリエの引っ越し。 過去のたくさんのもの、カビがついてる作品も捨てた。鍵の山。ドアがどこかわからない。対象のないキー。対象のないパスワード。

//2022年12月28日、上海。実際に中国に入国してみたら怖がる必要はまったくないのです。出発前の恐怖は想像していた恐怖だね。想像していたけど、同じくらいリアルで恐ろしいものだった。自分の弱さを思い知らされた。今思ったら、今までの「正義」な私は、ロマンチックすぎて、自己感動的な偽善だったじゃないのか?用事の合間にちょっと シェアサイクルしたら、久しぶりにシンプルな喜びを感じることができました。

//2022年12月29日、上海。心理的な帰属意識と物理的な帰属意識、どちらが真実なのでしょうか?複数の目的が混在しており、目的が不明確である。 彼女は病気のパパに会いに来るため? 家族を訪ねるため? ママとの現実の関係を確認するため? 思いがけず移住の心理的問題を解決するため? アトリエの引っ越しのため?荷物の整理と発送のため? 上海の映画館で中国語字幕付きのフランス映画を見るため? 好きな美術館で、見たい展覧会を見るため? 友人と再会するため? 銀行カードや運転免許証など、特定の事柄に対処するため? 何年も会っていない元カレたちに会いに行くのか、行かないのか?結婚した私の顔を見せるため?

//2022年12月31日、上海。2022年最後の日、突然、彼女のアパートの鉄門扉が倒れた。彼女は布団の中で泣いていた。泣くことは奨励されない。悪い状況でも、人は良い面を見せる傾向がありますね。昔行った映画館に行った。昔行ったレストランで食事をした。昔の友人や恋人に会った。昔ようにネットショッピングをした。昔の習慣やディテールなどを真似ることは、過去とのつながりを再構築しようとすることです。過去へ。でも失敗。モノや環境が過去の情景や感情を運んでくれるけど。何故だろう。人は自分の過去とどう向き合うのか?

//2023年1月1日、上海、元日。ハッピニューイェー!ハッピニューイェーか? まあ、とにかく、いよいよ新年がやってきました。烏魯木齊中路が突然、オシャレな男女の群れで活気づいた。それから10日後慌てて上海を出るまでずっと、このまちが急に活気を取り戻したようにすごく感じた。都市のエネルギーやっぱり!そして、前のいろいろあったことが跡形もなくなったみたい。すべては起こり、すべては忘れ去られた。

上海に帰るまで切らないと決めた長い髪は、結局上海で切らなかった。上海に帰ってみたら、あの3年間の長さは東京のものだったんだと分かりました。

This entry was posted by boat on Thursday, January 26th, 2023 at 6:35 pm and is filed under archive, describing, everything, goodbye, home, identity. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.
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